第三回は“日焼け”に関する“へぇ~”をお届けします。

<日焼けとは・・・>
日焼けは南国鹿児島に住む我々にとっては非常になじみ深い“病気!?”です。医学用語では日光皮膚炎と称し、太陽に照らされすぎることにより生じる皮膚の炎症です。太陽の光の中の紫外線(特にUVB)が作用します。

<あなたは赤くなるタイプ?黒くなるタイプ??>
日焼けには二種類あり、紫外線に暴露した数時間後から現れる赤い日焼け(サンバーン)、赤い日焼けが消失した数日後に現れて数週間~数ヶ月続く黒い日焼け(サンタン)があります。黒く見えてくるのは、皮膚の色素細胞が新しいメラニンという物質を作ったためです。紫外線が当たると、数日後から色素細胞はメラニンをどんどん作り出して、まわりの細胞にも分配し、細胞核にある大切な遺伝子が傷つかないように守ります。このように黒い日焼け(サンタン)は体が紫外線による被害を防ごうとする防衛反応ですが、その効果は小さく、注意信号と考えるべきです。紫外線は、皮膚の細胞核にある大切な遺伝子を傷つけることで、皮膚の癌を発症する誘因となります。メラニンの少ない白人に多いですが、日本人にも充分起こりえます。よって一般に言われている「赤く焼ける人は皮膚が弱い、黒く焼ける人は健康的」などといった都市伝説(田舎伝説?)はまったくの間違いです。曇りの日でも薄い雲の場合、紫外線の約8割以上が通過します。水面の反射は紫外線の暴露を増やし、また水中はわずかな紫外線しか防いでくれません。また紫外線暴露は一日を通して蓄積されます。つまり南国鹿児島での海水浴は皮膚にとっては危険がいっぱいなので、綿密な皮膚ケアが必要になります。

<どうやって皮膚を守ればいいの?>
1:紫外線の強い時間帯を避ける。
紫外線は太陽が最も高くなるときに最も強くなります。紫外線の強い時間帯を避けて戸外生活を楽しみましょう。
2:日陰を利用する。
外出時は日陰を利用するのもいいでしょう。しかし当たる紫外線には太陽からの直接のものだけではなく空気中で散乱したものや、地面や建物から反射したものもあるので、日陰であっても常に紫外線を浴びていることに注意してください。
3:日傘を使い、帽子をかぶる。
最近は紫外線防御機能を高めた日傘もあります。また帽子は直射日光を防御できます。
4:衣服で覆う。
しっかりした織目・編目を持つ生地を選びましょう。濃い色調で目が詰まっている衣類がベストですが、通気性や吸収性が悪いと暑い時期には熱中症になって救急外来へ運ばれる心配がありますので、これにこだわらずに戸外で心地よく着ていられるものを選びましょう。
5:サングラスをかける。
帽子をかぶるだけでも眼への紫外線暴露は約2割減り、適切にサングラスを着用することで約9割減らすことができます。
6:日焼け止めを上手に使う。
最近の日焼け止めには液状・クリーム状・乳液状・スプレー・シート等のタイプがあります。いずれの日焼け止めにも紫外線防止剤が入っていますが、紫外線防止剤は紫外線吸収剤・紫外線散乱剤の2つに分けられます。紫外線吸収剤は白くならないという特徴を持つ反面、たまにアレルギーを起こす人がいます。紫外線散乱剤は多少白くなりますが、アレルギーを起こすことはほとんどありません。子供用・皮膚が敏感な方用の日焼け止めは紫外線散乱剤のみを含んでいるものが多く、「紫外線吸収剤無配合」「紫外線吸収剤フリー」「ノンケミカルサンスクリーン」といった表示がされています。また日焼け止めの効果としてSPF(Sun Protection Factor)とPA(Protection grade of UVA)が表示されています。SPFはUVB(波長の短い紫外線)を防ぐ指標であり、日焼け止めを塗った場合、塗らない場合に比べて何倍の紫外線量を当てると翌日赤くなるのかを示した数値です。一方PAはUVA(波長の長い紫外線)を防ぐ指標であり、SPFと同じように塗布部と無塗布部との比を計算した値(PFA)を求め、値の大きさにより三段階(PA+, PA++, PA+++)に分けて表示します。+が多くなるほど防御効果が高くなります。日常生活ではそれほど数値の高くない日焼け止めで充分です。海水浴・スポーツ等には高い効果を持つものを、汗をたくさんかいたり水に入る場合は耐水性の高いものを使いましょう。また落ちたと思った時にはすぐに重ね塗りするか、そうでなければ2,3時間おきに塗り直し(重ね塗り)をすることをお勧めします。

この夏の思い出が楽しいままで過ぎますよう、充分に自分の皮膚を愛護してください。行き過ぎた日焼けはいわゆる“やけど”と同じ状態です。気になった際は皮膚科専門医への受診をお勧めします。当院へお気軽にご相談ください.

関連記事