第四回は“皮膚のがん・・悪いホクロ”に関する“へぇ~”をお届けします。

<悪いホクロとは?>
皮膚のがんの代表とも言える病気は悪性黒色腫(メラノーマ)、いわゆる“ホクロの癌”です。ホクロとは主に皮膚にしみを作る細胞の増殖であり、この細胞の悪性化が悪性黒色腫といわれます。悪性黒色腫は皮膚だけではなく、眼球や口腔内、鼻粘膜などにも発生します。また他の皮膚病から生じる場合や、外傷・日光・紫外線・靴擦れ・掻爬・凍瘡・熱傷瘢痕などが原因となる場合もあります。発生頻度・発生部位は人種・居住地などによって大きく影響されます。悪性黒色腫は紫外線防御能の低い白色人種に高頻度に発生し、日光にさらされる部位に生じやすい傾向があります。また紫外線防御能の高い黒色人種では発症はまれです。黄色人種の日本人は両者の中間の傾向を示します。

<どんなホクロが悪いホクロなの?>
悪性黒色腫には4つの種類があり、臨床症状と病理組織により結節型・表在拡大型・末端黒子型、悪性黒子型があります。どの型でも表皮内で水平方向に癌細胞が増殖するところから始まり、この時期は濃褐色~黒色のしみのように見えます。ある程度まで拡大すると垂直方向への癌細胞増殖が始まり、ホクロの一部が盛り上がったり、逆に崩れたりします。皮膚の深い方に癌細胞が増殖するようになると、転移の危険性が急激に上がります。転移は主に血管の脇に走っているリンパ管を通って起こり、元々のホクロの周りに新たなホクロを作ります。さらに離れたリンパ節へ転移し、最終的に様々な臓器へ癌細胞は転移していきます。
悪性黒色腫を疑わせるホクロのサインとして5つの特徴があります。
1:ホクロが左右非対称になる。
2:ホクロの境界線がはっきりしない。
3:ひとつのホクロの中に色んな色が見られる。
4:径6mm以上。
5:ホクロが盛り上がっている。
つまり素人目に見ても“きれいではないホクロ”は“怪しいホクロ”というわけです。またホクロは元々日光・紫外線から皮膚を守るために存在するので、日光・紫外線が当たりにくい部位にほくろが存在することは異常と考えられます。だから足の裏などにあるホクロは“怪しいホクロ”と言われるのです。また癌細胞の特徴として異常な増殖力があるので、短期間で急激な変化をするホクロは要注意となります。

<悪性黒色腫の治療は?>
治療は手術となりますが、悪性黒色腫の“たちの悪さ”の程度によって手術内容は異なります。癌の厚さが1mm以下であれば1cm程度余分に切除すればいいですが、それ以上の厚さになれば2~5cm程度余分に切除し、さらにリンパ節郭清や指趾や四肢切断を余儀なくされる場合もあります。またたちの悪さの程度に応じて抗癌剤治療や放射線療法、免疫療法等を行うこともあります。
予後は皮膚の表面から最深部の癌細胞までの深さによって規定されます。深さ1mm以下の場合5年後ほぼ100%の方が生き残ってますが、深さ4mmを越えると5年後に生き残っている人は約50%、他の臓器に転移がある場合は約10%といわれています。

悪性黒色腫が疑われる場合は早急な対応が必要となりますので、気になるホクロがある方は早めの皮膚科専門医への受診をお勧めします。当院へお気軽にご相談ください.

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