第九回は、“腋窩多汗症(ワキ汗)”に関する“へぇ~”をお届けします.


<多汗症とは・・・>
 多汗症とは、その名の通り汗をかき過ぎてしまう病気のことです。汗をかくことは体温調節のために非常に大事な生理反応ですが、汗をかく部位によっては臭いを気にしたり、服につく汗ジミを気にしたり、発汗部位の湿度が高くなり過ぎて余計な皮膚症状が起こったりすることがあります。程度にもよりますが、多汗症によって日常生活に支障が出てくる人もいます。多汗症には色々なタイプがありますが、ここでは相談を受けることが多い“腋窩多汗症(いわゆるワキ汗)”について詳しくお話します。

<腋窩多汗症(ワキ汗)はどうすればいいの?>
 腋窩多汗症には原発性(明らかな原因がない)と続発性(何らかの病気や薬などが関連する)に分かれます。続発性の場合は原因になる病気の治療を進めていけばよいのですが、原発性の場合は明らかな原因がありませんので、発汗を抑え込む治療をすることになります。

<治療はどうすればいいの?>
 今までは塩化アルミニウムを用いた外用剤や、イオントフォレーシス、手術などが多汗症の治療としてなされてきましたが、保険診療には制限がありました。しかし、このたび“ボツリヌス療法”という注射の治療が“重度の原発性腋窩多汗症”に保険適応となり、ワキ汗のご相談に対応しやすい体制となりました。

<ボツリヌス療法って何??>
 ボツリヌス菌が作るたんぱく質から精製された薬を、腋窩に直接注射することにより発汗作用を抑える治療です。汗腺へ“汗を出せ!”と伝える信号(神経伝達)をブロックすることにより汗をかかなくなります。“菌を体に注射するの!?”と思われがちですが、ボツリヌス菌そのものを注射するわけではありませので、感染の心配はありません。

<治療期間は?>
 発汗を抑える効果は注射後“2~3日”で現れて、“4~9か月”続きます。時間が経つと薬の効果は消えていきます。

<通院は必要?>
初診時に“重度の原発性腋窩多汗症”かどうかを診察し、診断され治療を希望される場合には注射薬を取り扱う会社に症例登録をします。登録完了後に注射薬を受け取り、注射を打つという流れになります。なので、初めて受診したその日に治療を受けることはできません。“1:初診”、“2:注射”、“3:治療効果の確認”の少なくとも三回は通院が必要になります。

<副作用はないの?>
 注射後、まれに注射部位の炎症、体のだるさ、脇以外の部位の発汗が増えるなどの副作用を生じることがあります。多くは一時的な反応ですが、気になる際は随時医師にご相談ください。

<注射を受けられない人もいるの?>
 神経伝達に関与する治療になりますので、全身性の筋力低下を起こす病気がある方や、妊娠中・授乳中・妊娠の可能性のある方などは治療を受けることはできません。また、男性も女性も注射後少なくとも三か月は避妊するよう規定されています。

<ワキガ(腋臭症)にも効きますか?>
 腋窩多汗症(ワキ汗)と腋臭症(ワキガ)は別の病気になりますので、ボツリヌス療法はワキガ(腋臭症)には治療効果はありません。

 医者の中で汗に一番詳しいのは皮膚科医です。ワキ汗に限らず、汗でお悩みの際はお気軽に皮膚科専門医にご相談ください。