第一回は“アトピー性皮膚炎”に関する“へぇ~”をお届けします。


<アトピー性皮膚炎とは・・・>

ザックリいうと、普通の人より皮膚が乾燥しやすい肌質のために起こってしまう皮膚炎です。皮膚にとって乾燥は大敵です。乾燥しているだけで痒みも出てくるし、湿疹も出てきます。皮膚は外からの刺激を防ぐバリアーの役割をしているので、その皮膚が乾燥しているとこまかくひびが入っている状態となり、そこにバイ菌が入りやすくなり、バイ菌が入ると感染症を起こしさらに痒くなります。痒いから引っ掻いてしまいます。引っ掻いてしまうから自分で皮膚に傷をつけます。その傷からまたバイ菌が入って感染症を起こし痒くなります・・・悪いことの繰り返しにはまり込んでいく・・・これがアトピー性皮膚炎の実態です。

<では何をするべきか・・・>

1:保湿
とにかく保湿をして下さい。乾燥させない!というのが全てです。ワセリン、プロぺト、ヒルドイドソフト、ビーソフテン、ニベア、キュレル・・・どれかは耳にしたことがあると思います。保湿剤は普通の薬局で売っているもので構いませんので、一日何十回でも塗って皮膚を潤った状態にすることが大事です。車にワックスをかけて傷を付きにくくするのと同じです。自分の体にもワックス(保湿剤)をかけて下さい。たまに「保湿剤を塗ると痒くなる」と言う患者さんがいますが、これは「私は水が飲めないので、他の飲み物下さい」と言っているのと同じです。人間として生物としてありえないでしょ?人間として保湿を避けることはできません!そして患者さんからはよく「なかなか塗れないので飲み薬を・・」と言われることがありますが、皮膚を潤わせる飲み薬はこの世に存在しません。塗るしかないのです。皮膚科と内科の大きなちがい・・・それは皮膚科には“塗り薬”があることです。塗り薬より飲み薬の方がよく利くのでは?と思ってませんか?内科は内臓に直接触れられないので飲み薬しかないのです。自分が飲もうとしているコーヒーが苦い時に、そのコーヒー豆が甘く育つように改良するよりは、自分の飲む分だけに砂糖を加えた方が手っとり早いでしょ?それと同じことです。

2:ステロイド剤
皮膚炎ができにくい皮膚の環境を作る努力を患者さんにしてもらった上で、それでも湿疹・皮膚の炎症が出るときには、ステロイド剤(炎症を抑える薬)を使う必要があります。ステロイドは昔から色んな誤解・迷信がいまだにまかり通っている薬ですが、皮膚科医はステロイドの使用に関しては医者の中で一番詳しい科なので、私の言うことを信じていただければと思います。
ステロイドは“火事の時にかける水”です。湿疹・皮膚炎(火事)が起こったらもちろん消火しないといけないので、その時にはステロイド(水)が必要になります。“ステロイドは怖い。使いたくない。”と言う患者さんがよくいますが、それは副作用を気にされてのことがほとんどです。逆にステロイドを使い続けてもいけません。ステロイドはホルモン剤なので、確かに体の色んな内臓に働いてしまい、それが副作用に結びつくこともありますが、それはステロイドを使い続けた時の話です。火事の時にはすぐ水をかけないといけないのは分かりますよね?火を消すのに水以外のものをそこで探したりはしないでしょ?素直に水をかけましょうよ!今度は逆に火事を起こらないようにするために普段から水をかけ続ける人はいないよね?木造の家だったら腐ってしまうし、鉄筋の家だったらさびるよね?それと同じ、ずっと使ってはいけません。必要なとこに必要な時に必要なだけ使用する・・・これがステロイドです。たまに湿疹が続いてステロイドを使い続ける場合もありますが、それでも“二日しっかり塗って一日休む”みたいにメリハリをつけることが大事です。

*いまだにまかり通っている迷信
【ステロイド剤は色がつく・・・】
色がつくのはステロイドによるものではなく、湿疹・皮膚炎による炎症後のシミです。湿疹の痕はシミになったり逆に色が抜け落ちて白くなったりします。アトピーの人は首周りや肘、膝裏によく茶色いシミが残ってザラザラしていますよね?これは長年皮膚の炎症を繰り返してきましたよと皮膚が訴えているのです。そしてこのザラザラは苔癬化と言って、炎症の痕は苔を触っているようにザラザラしてしまうのです。ザラザラ=乾燥なので、保湿をしないとまた炎症が起こりやすくなります。
【ステロイドを塗って太陽に当たってはいけない・・・】
ステロイドと太陽は全く関係ありません。必要な時はしっかり塗って下さい。ちなみに太陽の光はアトピーの人に限らず人間の皮膚にとっては百害あって一利なしです。普段から日焼け止めを塗る習慣をつけて下さい。ただしこまかい話になりますが、皮膚科の中には太陽の光を利用する治療もあります。そこは太陽の光にも医者の中では一番詳しい皮膚科医の判断になりますので、自分から日焼けすることはしないで下さい。

3:飲み薬
一般的に飲み薬=抗アレルギー剤になります。患者さんの中では“飲み薬のおかげで痒みが止まった。治った。」と感じ、塗り薬より飲み薬の方が効くと思う方が多いです。が、これは間違いです。飲み薬はザックリ言うと”痒み止め“です。痒みを起こす原因は湿疹・皮膚炎です。だから湿疹・皮膚炎を治療しないと痒みはずっと起こり続けます。臭いものがあったら蓋をするよりは、さっさと捨てた方がいいでしょ?それと同じです。飲み薬はあくまで”蓋“なのです。

4:清潔環境・・・
アトピー性皮膚炎は肌にひびが入っている状態なので、バイ菌が付きやすい状態です。だからお風呂にはしっかり入りましょう。そして風呂上がりはすぐ保湿!人間の皮膚は水がかかるとそれを拭き取った時に一番乾燥するのです。そしてこれも迷信ですが、皮膚に何かしら症状があっても、濡らさない方がいいできものはありません。しっかり洗った方がいいものばかりです。皮膚に何が起こっても、しっかり石鹸を使って洗って下さい。そして何があっても消毒は不要です。そこだけ消毒しても周りからすぐバイ菌はやってくるので・・。石鹸でしっかり洗えば、バイ菌は悪さをしない量に減ります。

5:最後に・・・
アトピー性皮膚炎は簡単にいうと“体質”なので、明日になったらすっかり治った!なんてことはありません。症状が出てもそれが軽くすむようにうまく付き合っていくものと考えて下さい。生まれ持った顔はどう頑張っても黒木瞳にはなれないでしょ?それと同じことです。子供さんがおられるかたは、お子さんのスキンケアも徹底してあげて下さい。少しでも火事を起こさないように、とにかく保湿・日焼け止めに努めましょう。